DSM−IV
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DSM−IVによる分類方法は、アメリカ精神医学会発行の「精神疾患の診断・統計マニュアル」によります。この分類方法の特徴は、原因ではなくその症状から、心や精神の病気・疾患を分類しています。これにより診断基準が明確になっている点に特徴があります。
DSM−IVはやや古い基準となったため、最近その改良版の案が作成され、「DSM−IV−TR」という版として発表されています。このページでは、基本はDSM−IVを使用していますが、個別の説明では、場合によってDSM−IVーTR版を用いています。また、更に必要な場合には、その他の情報で一般的に使用されているアイテムも追加しています。
尚、2013年5月には、DSM−V の発表が予定されています。
DSM−IVには、次の表で示すように16個の障害(Disorder)の概念が含まれています。
1
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通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害
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2
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せん妄、痴呆、健忘性障害、および他の認知障害
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3
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一般身体疾患による精神疾患
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4
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物質関連障害
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5
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統合失調症および他の精神病性障害
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6
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気分障害
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7
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不安障害
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8
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身体表現性障害
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9
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虚偽性障害
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10
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解離性障害
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11
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性障害および性同一性障害
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12
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摂食障害
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13
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睡眠障害
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14
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他のどこにも分類されない衝動制御の障害
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15
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適応障害
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16
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人格障害
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心の病気を多くの特徴的な要素で多変量解析すると、互いに独立な5つの要素、あるいは変量により、大部分が説明されることがわかっています。これにより、DSM−III以来、これらを5つの「軸」と呼び、「多軸評定」という手法で多面的に捉えるようになっています。
第1軸
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・臨床疾患、ないしは臨床的関与の対象となりうる他の状態。
・人格障害および知的障害を除く14個の障害概念がここに含まれます。
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第2軸
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・人格障害および知的障害。
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第3軸
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・一般身体疾患。
・DSM-IIIにおいては身体状態と呼ばれていました。
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第4軸
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・心理・社会的、および環境的障害。
・DSM-IIIにおいてはストレス強度と呼ばれていました。
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第5軸
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・全体的機能評定。
・DSM-IIIにおいては社会適応水準と呼ばれていました。
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幼児期・小児期・青年期に診断される障害
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・精神遅滞
・学習障害
・運動機能障害
・コミュニケーション障害
・広範性発達障害
・注意欠陥および破壊的行動障害
・幼児期または小児期早期の哺育障害・摂食障害
・チック障害
・排泄障害
・幼児期・小児期・青年期の他の障害
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せん妄・痴呆・健忘性障害および他の認知障害
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・せん妄
・痴呆
・健忘性障害
・他の認知障害
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一般身体疾患による精神障害
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・一般身体疾患を示すことによる緊張病性障害
・人格変化
・特定不能の精神疾患
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物質関連障害
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・アルコール関連障害
・アンフェタミン(あるいはアンフェタミン様)関連障害
・カフェイン関連障害
・大麻関連障害
・コカイン関連障害
・幻覚剤関連障害
・吸入剤関連障害
・ニコチン関連障害
・アヘン類関連障害
・フェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害
・鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬関連障害
・多物質関連障害
・他のまたは不明の物質関連障害
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統合失調症および他の精神病性障害
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・統合失調症
・統合失調症様障害
・失調感情障害
・妄想性障害
・短期精神病性障害
・共有精神病性障害
・一般身体疾患による精神病性障害
・物質誘発性精神病性障害
・特定不能の精神病性障害
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気分障害
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・うつ病性障害
・双極性障害
・他の気分障害
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不安障害
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・広場恐怖を伴わないパニック障害
・広場恐怖を伴なうパニック障害
・パニック障害の既往歴のない広場恐怖
・特定の恐怖症
・社会恐怖
・強迫性障害
・心的外傷後ストレス障害
・急性ストレス障害
・全般性不安障害
・一般身体疾患による不安障害
・特定不能の不安障害
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身体表現性障害
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・身体化障害
・鑑別不能型身体化障害
・転換性障害
・疼痛性障害
・心気症
・身体醜形障害
・特定不能の身体表現性障害
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虚偽性障害
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・虚偽性障害
・特定不能の虚偽性障害
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解離性障害
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・解離性障害
・解離性とん走
・解離性同一性障害
・離人症性障害
・特定不能の解離性障害
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性障害および性同一性障害
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・の不全
・性嗜好異常
・性同一性障害
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摂食障害
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・神経性無食欲症
・神経性大食症
・特定不能の摂食障害
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睡眠障害
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・原発性睡眠障害
・他の精神疾患に関連した睡眠障害
・他の睡眠障害
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他のどこにも分類されない衝動制御の障害
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・間欠性爆発性障害
・窃盗癖
・放火癖
・病的賭博
・抜毛癖
・特定不能の衝動制御の障害
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適応障害
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・適応障害
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パーソナリティ障害(人格障害)
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・A群パーソナリティ障害(妄想性・シゾイド・失調症)
・B群パーソナリティ障害(反社会性・境界性・演技性・自己愛性)
・C群パーソナリティ障害(回避性・依存性・強迫性)
・特定不能のパーソナリティ障害
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臨床的関与の対象となることのある他の状態
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・身体疾患に影響を与えている心理的要因
・投薬誘発性運動障害
・他の投薬誘発性障害
・対人関係の問題
・虐待または無視に関連した問題
・臨床的関与の対象となることのある状態、追加
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その他の疾患
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DSMで扱われている以外でも精神に関係する疾患があるので、ここではそれらを記述しています。
・心気症
・過換気症候群
・神経性頻尿
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